報告書&レポート
2005年10月13日
アルマティ事務所 酒田 剛 e-mail:jogmec@nursat.kz
2005年66号
カザフスタンにおける銅の生産動向と垂直統合型企業Kazakhmys社の現地調査報告

銅は世界景気の拡大を受けて幅広い需要が伸展し、国際市況で過去最高値を更新している。増産によって足元では供給過剰の鉱石に対し、地金の生産は予想ほど伸びていないとされる。本稿では、CIS諸国でロシアに次ぐ埋蔵量・生産量を誇るカザフスタンの銅の生産動向とSamsung Group(韓)が最大シェアを有する鉱山-精錬-加工を行う垂直統合型企業Kazakhmys社の活動状況について、現地での収集情報などに基づき報告する。 |
1. 主な銅生産者と2004年生産量
下表に示すとおり、主な生産者は精鉱3社、地金2社、粗銅1社となっており、Kasting社はスクラップ原料から銅地金を生産している。
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※ カザフスタン最大の亜鉛・鉛生産者 |
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2. 銅の生産・輸出動向
2004年の生産量、輸出量及び2004/2005年の上半期生産量を次表に示す。2004年に生産された銅地金の約9割は、イタリア:242.8千t(前年比138.9%増)や中国:109.4千t(同56.4%減)などに向けて輸出された。銅精鉱に関しては、2003年データによれば、輸出された219.2千t(精鉱Gross Wt)のうち中国向けが184.8千tと大半を占めた。2005年上半期には、銅精鉱の生産量を大きく減らした。1~2月におけるKazakhmys社の平均粗鉱品位はCu 1.04%と前年同期の1.30%に比較して非常に低く、同社の上半期の操業実績は、低品位部の採掘が優勢であったと思われる。
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出典:
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Bitimbaevレポート2005.04 カザフスタン国家統計庁 |
3. Kazakhmys社の活動状況
3-1. 基礎データ
所 在 地:
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カラガンダ州Zhezkazgan(ジェズカズガン)-本社機能 |
沿 革:
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1995年、Samsung社(韓)がカザフスタン政府との間で200百万USドルの投資を条件とするマネージメント契約を交わし、Kazakhmys社の経営権を取得 |
従 業 員:
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約70,000名 |
生 産 物:
銅、亜鉛、金、銀、石炭、銅ワイヤロッド
傘下企業:
Mansfelder Kupfer & Messing社(独)-銅加工業者(2003年生産量:188千t)→2004年11月に買収
