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報告書&レポート

2005年12月15日 北京事務所 納 篤 e-mail:osame@jogmec.cn
2005年93号

中国国務院、銅製錬の盲目的投資を抑制する通知を発布

 中国国家発展改革委員会等関係機関(財政部、国土資源部、人民銀行、環境保護総局)は、中国国務院に対し無計画な銅製錬投資を規制するため「銅製錬業への盲目的投資抑制に対する若干の意見」を提出し、その回答を待っていたところであるが、国務院はこのたび国家発展改革委員会等諸部門から提出された「意見」に同意し、「国弁発[2005]54号」を通知した。
 中国国務院は最近の過剰とも指摘される中国銅産業への投資に関し、強引な政策とも思える銅投資抑制策、特に銅製錬プロジェクトへの規制を各省、自治区、直轄市人民政府、国務院各部・委員会、各直属機関に通知し、その遵守の徹底を求めた。このたび関係文章を入手したので、下記の通り関係者各位に紹介する。

「銅製錬業への盲目的投資抑制に対する若干の意見」に関する国務院弁公庁から国家発展改革委員会等諸部門への通知

国弁発[2005]54号
各省、自治区、直轄市人民政府、国務院各部・委員会、各直属機関各位:
 発展改革委員会、財政部、国土資源部、人民銀行、環境保護総局の「銅製錬業への盲目的投資抑制に関する若干の意見」がすでに国務院の同意を得たことをここに諸部門に通知する。真剣に実行するよう望む。

国務院弁公庁
2005年11月3日

「銅製錬業への盲目的投資抑制に関する若干の意見」
発展改革委員会、財政部、国土資源部、人民銀行、環境保護総局
 
 銅製錬は重要な基礎原材料産業である。ここ数年、銅の需要が段階的に高まり、銅価格高騰の影響を受け、一部の地方と企業は利益のみを追求し、市場や資源面などの外部条件を顧みずに、銅製錬業への盲目的投資を行ったため、一連の問題が生じている。その一つは銅製錬能力の急激な増大である。2004年の全国の銅製錬能力は163万tに達し、輸入精鉱は288万t(重量)で、目下建設中或いは建設を予定している銅製錬プロジェクトは205万t、2007年末には370万tの製錬能力が形成されると見込まれているが、これは全国の銅精鉱保障能力と国際市場から調達の可能性のある精鉱量をはるかに上回ることになる。二つ目は市場が無秩序状態になり、過当競争が横行し、互いに原材料を奪い合うこととなり、この様な状況では利益が大幅に低下し、甚だしい場合には業界全体が赤字になり、投資の浪費と潜在的な金融リスクを招きかねないことが予想される。三つ目は新規上場企業の規模が小さく、技術が遅れており、エネルギー消費が高く、環境汚染が深刻で、産業構造の調整やレベルアップに不利なことである。銅製錬業への盲目的投資を早急に抑制し、銅産業の持続的かつ健全な発展を促進するために、以下の意見を提起する。
 
Ⅰ.プロジェクトの整理に真剣に取り組む
 各地は竣工済みプロジェクト、建設中のプロジェクト、建設予定のプロジェクトの整理に真剣に取り組むこと。産業政策、投資管理、環境アセスメント、土地管理などの規定に違反しているプロジェクトは、すべて建設を許可してはならない。既に届出されているプロジェクトのうち、年間生産能力が10万t以下か、或いはflash smelting法、ISA法、ノランダ法などの先進的かつエネルギー消費が低く、環境保護基準に達し、資源の総合利用率が高い精錬プロセスを採用していないか、または銅精鉱の供給が不確定で、交通・輸送などの外的条件が整っておらず、自社鉱山原料の割合が四分の一以上に達していないプロジェクトは、建設を中止し、再度プロジェクトの合理性と実行可能性について検討する。規定通りに環境保護主管部門に対し環境アセスメント報告書を提出せずに勝手に着工している場合は、一律そのプロジェクトの建設を中止し、既に生産を開始しているプロジェクトについては一律生産を中止すると同時に、関連の法律法規に基づいて処理する。建設用地が未承認の場合は、一律その建設を中止する。整理後、銅精錬業への参入条件を満たしている企業については、基準適合企業としてみなされる。
 
Ⅱ.産業政策による指導と市場参入の管理を強化する
 国務院の関連部門は科学的発展観を実践し、新しいタイプの工業化の道を目指し、銅産業の産業政策、発展計画、銅製錬業への参入基準を早急に整備し、その発展の方向性と地域的配置を明確化し、業界が秩序だった発展を遂げるよう指導しなければならない。また、国内外の銅産業の情勢に関する研究や分析を強化し、重要原材料の需給状況、生産能力、価格変動などの情報を速やかに公表し、地方及び企業の投資行為を誘導していかなければならない。法律法規及び関連産業政策に基づき、銅製錬プロジェクトについては市場参入を厳格に管理し、産業政策や投資体制改革後の関連規定に違反しているプロジェクトの建設を許可してはならない。国が新しい産業政策を公表した後は、新しい規定に基づいて実施する。
 
Ⅲ.関連経済政策を調整する
 投資規模を抑制し、投資効率を高めるため、銅製錬プロジェクトの資本金比率を20%以上から35%以上まで引き上げる。銅製錬設備の輸入に対する免税政策を厳格に適用し、規定に合致していないプロジェクト、未承認プロジェクト、環境保護主管部門が回答していない規定に反するプロジェクトについては、関連部門は「国が奨励する内資・外資プロジェクト確認書」を発行してはならない。「第11次5か年計画」期の税収政策を定める際は、総合的に銅原料輸入時の増値税についても検討する。
 
Ⅳ.信用貸しの管理を強化する
 金融機関は国のマクロ調整と産業政策上の要求に基づき、信用貸し資金を合理的に配置し、絶えずその投資動向の最適化を図り、信用貸しリスクを回避しなければならない。国の産業政策と市場参入条件に合致しているプロジェクトについては引き続きこれを支持する。それに合致しておらず、規定の手続きに基づき承認されていないプロジェクトについては、一律与信を行わない。与信をすでに行っているプロジェクトについては、妥当な措置を講じて資金を回収する。
 
Ⅴ.環境保護に対する監督・管理を強化する
 環境保護総局は「中華人民共和国環境保護法」など関連の法律法規に基づき、既存銅製錬メーカーの環境保護基準の達成状況を監督・検査し、基準に達していないメーカーのリストを定期的に公表する。排出基準を達成できないか、或いは汚染物質の排出総量を上回っているメーカーについては、地方政府が期限を決めてその処理に当らせ、不合格の場合は操業停止か、或いは閉鎖する。
 
Ⅵ.銅製錬業の産業構造の調整を強化する
 中核企業と中小鉱山企業の合弁を奨励し、原料供給能力を確保し、条件の整っていない鉱山企業による製錬プロジェクトの建設を回避しなければならない。基準を満たしている中核企業が地質調査会社と協力して備蓄資源(保有資源)を増やすことを支援する。基準を満たしている中核企業は引き続き改革、改編、改造を推進して企業グループを形成し、互いの強みを補い合い、産業集積度を高め、国際競争力を向上させることを支援する。銅製錬メーカーは国内外市場の変動法則をよく研究し、国内外の資源を活用しなければならない。国内の銅製錬中核企業が共同で銅精鉱の買い付け交渉を行うことを支援する。その際は、業界団体などの仲介組織的役割を十分に発揮させる。
 各地区並びに関連部門は、この意見書の精神にのっとり、各地の銅製錬投資プロジェクトの整理を組織的に行い、その整理結果と処理に関する意見を2005年末までに国務院に報告すると同時に、その報告書の写しを発展改革委員会に送付するものとする。

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