2012年9月14日、チリ鉱業省はリチウム特別操業契約入札への応札者を発表した。今回の入札に応札したのは、ErrázrizグループのSociedad Legal Minera NX Uno de Peine(以下、NX Uno)、世界有数のリチウム生産者SQM、Maricunga塩湖に鉱業権を保有し資源量も発表しているLi3を含むPosco Consortiumの3者である。Posco ConsortiumはPoscoの他、Daewoo International、Sociedad Minera Li Energy SpA、三井物産からなる米韓日の国際コンソーシアムである。NX Unoは2010年11月にアタカマ塩湖北西部にあるNX Uno鉱区を対象としたカリウム及びリチウム開発のためのNX Unoプロジェクトの形成に合意している。Pablo Wagner鉱業次官によると、全者入札資格審査をパスしており、最も高額なオファーを出したものが落札者となる。開札は2012年9月24日午前9時半に行われる。
ブラジル連邦裁判所は、ValeのCarajas鉄道拡張計画に対する差し止め請求を却下する判断を下した。2012年8月に地元人権グループから環境許可プロセスに問題があるとの訴えが起こされたことにより、建設工事は中断していた。計画では、鉄鉱石の増産のために、現在の輸送量1.3億t/年を約2倍の2.3億t/年に拡張するもので、Crajas鉱山から積み出し港のPonta da MadeiraまでのCarajas鉄道を複線化する。拡張計画の投資コストは41億US$である。
2012年9月17日付け地元紙によると、Xstrata Las Bambas社のChoquenaria代表取締役は、Las Bambas銅プロジェクトの進行状況に関して地元紙のインタビューに応じ、同プロジェクトの実施に必要な全ての許可の取得を完了し、現在は鉱山建設に向けた整地等の準備作業を実施していることを明らかにした。さらに、本格的な鉱山建設工事は2013年1月から2014年末まで実施され、2015年1月から生産を開始する計画を示した。 Las Bambas銅プロジェクトへの投資総額は52億US$で、少量の銀や金を含む銅・モリブデン精鉱を1日に4,000~5,000 t生産し、年間で40万tの銅を生産する見通しとなっている。 一方、Choquenaria代表取締役は、同プロジェクトでは現在鉱山建設が集中的に実施されており、探鉱活動は一時停止状態となっているが、約2年後を目安に探鉱を再開したいとの考えを示した。さらに、現時点でのLas Bambas銅鉱山のマインライフは18年とされているが、探鉱の結果によってはライフが倍増する可能性も大いにあるとコメントした。
メディア報道によると、野党急進党議員団は下院天然資源委員会に対し、氷河保全法に定められた氷河インベントリー作業が始まらないことの説明を求めるため、Juan José Mussi環境庁長官を召喚するよう要求した。氷河保全法が2011年1月に発効となったあともBarrick Goldによる停止要求により事実上の同法適用は停止されていたところ、2012年7月に最高裁が停止措置を破棄、180日以内に法に基づく氷河リスト作成に着手するよう命じていた。環境庁長官の説明如何では急進党議員側は訴訟に持ち込むことも考えているという。
加:ON州Greenstone地域、同州北部Ring of Fire地域のゲートウェイとなることを確信
2012年9月12日付け地元紙等によると、ON州Greenstone地域の代表が同地域が同州北部Ring of Fire地域のゲートウェイとなることを確信していると述べたと報じている。 地域代表は地域議員に対する現状報告の中で「Greenstone地域Nakinaを南ターミナルとして南北を繋ぐ鉄道を使用するNoront Resources社が公表したRing of Fire地域からの鉱石運搬計画と、ON州電力当局が現在考察中のNipigon湖東側の送電線計画により、ゲートウェイとなることを確信している。更に重要なことは、現在ディーゼル発電機に頼っている先住民社会へ安定した電力供給が可能となり、社会や経済の不利益に対処できる。先住民社会とは送電線計画による利益について同意している。」と述べている。
2012年9月14日付けメディア報道によれば、ザンビア政府は銅の輸出促進に向け、国内の鉄道インフラ整備費として1.2億US$を投資する方針であることをChikwanda財務大臣が明らかにした。ザンビア政府はインフラ整備等の資金を調達するため、ユーロ建て国債を初めて起債し、5億US$を新たに資金調達する予定である。同財務大臣は、今回調達する5億US$のうち1.2億US$を銅の運搬に必要な鉄道整備に充てる方針を明らかにした。 ザンビアでは現在、ゲートウェイとなるDurban港(南ア)まで鉄道が繋がっているが、運営が杜撰であるため、鉱山会社の多くは精鉱や地金をトラックで輸出せざるを得ない状況となっている。ザンビアの鉄道は、民間企業であるRailway Systems of Zambia社がTazara鉄道を除く路線のコンセッションを2003年より付与されていたが、経営及び設備投資が不十分であるとして、政府は同社へのコンセッションを取り消すことを2012年9月10日に発表している。 またTazara鉄道に関しても運営改善に向けて、ザンビア・タンザニアの両国政府が協議を行うほか、中国が24百万US$を資金供与し、運営改善に向けたスタディを行っている。中国は140名の技術者を現地に派遣して、問題点の抽出等に取り組んでいる模様である。
Anglo American Platinum社(Amplats)は2012年9月12日、鉱山労働者の安全確保が困難であるとしてRustenburg地域にある5鉱山の操業一時休止を発表したが、9月18日より操業を再開できる見込みである。操業休止の理由としてAmplatsは、ストライキによるものではなく、外部からの介入によって従業員の安全が脅かされており、安全確保を図るためであるとしている。同地域は警察の警備増強により安全確保の目途が付いたことから、Amplatsは9月18日より操業開始すると発表している。 同じくRustenburg地域にて操業を一時停止していたAquarius社のKroondalプラチナ鉱山も、9月17日より操業を再開した。 先月のMarikana鉱山での衝突以降、南アでは各地で鉱山ストが散発しているが、このような状況についてShabangu鉱物資源大臣は、「南ア鉱業界はアパルトヘイト廃止以降、最大の困難に直面している」とメディアへのインタビューに答えている。また、労働環境の改善に取り組まない鉱山会社に対しては、政府として厳正に対処する意向を示した。
2012年9月13日付けの地元報道によれば、フィリピン環境天然資源省は、7月6日付けで公布された新たな鉱業政策に関する大統領令(Executive Order:EO)79号を実施するための施行規則(Implementing Rules and Regulations:IRR)を9月11日に公布した。同IRRの規定により、ロイヤルティは現行の2%から7%へと引き上げられ、鉱山活動の具体的な禁止地域は、国家地理資源情報庁(National Mapping and Resource Information Authority:NAMRIA)と鉱業調整評議会(Mining Industry Coordinating Council)が、観光省及び農業省など関係機関と調整し、最終的な区域の地図・リストを作成する。ロイヤルティに関しては、既存の鉱業権所有者は、現在の許可の更新時に新たな率が適用される見通しとなる。鉱山活動の禁止地域には、EO79号で示されていた国が指定する観光地域に加え、地方が開発を進める地域なども加わる予定としている。また、環境保護の主管は、従来の鉱山地球科学局(Mines and Geosciences Bureau:MGB)から、環境管理局(Environment Management Bureau:EMB)に移管され、EMBが管理・監督を実施し、今後、調査の上、違反者には厳しい罰則を科すこととしている。 IRRは、所定の15日間の公告期間を経て、改めて施行される。