カナダ(Canada)
- 面積(k㎡):
- 9,984,670
- 海岸線延長(km):
- 202,080
- 人口(百万人):
- 37.7
- 人口密度(人/k㎡):
- 3.8
- GDP(bUS$):
- 1,653.00
- 一人当たりGDP(US$):
- 43,853.03
- 主要鉱産物:鉱石:
- 鉄、チタン、亜鉛、銅、ニッケル、ウラン、モリブデン、プラチナ等
- 主要鉱産物:地金:
- 亜鉛、銅、鉛、ニッケル、コバルト、アルミニウム等
- 鉱業管轄官庁:
- 連邦:Natural Resources Canada
BC州:Ministry of Energy, Mines and Petroleum Resources
AB州:Ministry of Energy, Ministry of Environment and Parks
SK州:Ministry of Energy and Resources
MB州:Department of Growth, Enterprise and Trade
ON州:Ministry of Energy, Northern Development and Mines
QC州:Ministry of Energy and Natural Resources
NL州:Department of Natural Resources
NB州:Department of Natural Energy and Resource Development
NS州:Department of Energy and Mines
YT準州:Department of Energy, Mines and Resources
NT準州: Industry, Tourism and Investment
NU準州:Department of Economic Development and Transportation
- 鉱業関連政府機関:
- Impact Assessment Agency of Canada、Canadian Nuclear Security Commission、Geological Survey of Canada、各州・準州の政府機関(州地質調査所等)
- 鉱業法:
- BC州:Mines Act
AB州:Mines and Minerals Act
SK州:Crown Minerals Act、Mineral Resources Act
MB州:Mines and Minerals Act
ON州:Mining Act
QC州:Mining Act
NL州:Mineral Act、Mining Act
NB州:Mining Act
NS州:Mineral Resources Act、Mines Act
YT準州:Quartz Mining Act
NT準州:Northwest Territories Mining Regulations(連邦法)
NU準州:Nunavut Mining Regulations(連邦法)
- ロイヤルティ:
- NT準州/NU準州:連邦が定める鉱業法に従う その他:各州・準州の定める鉱業法・鉱業税法等に従う
- 外資法:
- Investment Canada Act
- 環境規制法 (環境影響調査制度、環境・排出基準の有無等):
- 連邦:Impact Assessment Act、Canadian Environmental Protection Act、Environmental Enforcement Act、Fisheries Act、Navigable Waters Protection Act、Species at Risk Act等
NT準州/NU準州:連邦法(Canadian Environmental Protection Act)
その他:各州・準州の定める環境規制法や環境保護法等
- 鉱業公社(環境):
- QC州:Ressources Québec(ケベック資源公社)
- 鉱業活動中の民間企業:
- Vale、Rio Tinto、Glencore、Teck Resources、Cameco、Newmont、Barrick Gold、他
- 最終更新日:
- 2020年02月06日
1.鉱業一般概況
(1)主要生産物
カナダは、政治経済的にも安定した世界有数の資源国である。10の州と3つの準州から構成されており、資源は国土全体にわたって賦存している。連邦政府が立法・行政権を持ち、ユーコン準州(YK準州)、北西準州(NW準州)、ヌナブト準州(NU準州)の準州は限定された自治を有している。
連邦政府及び各準州政府は鉱業活動促進すべく、インフラ整備の強化、鉱物資源戦略の策定、鉱業促進策の実施等を通じて北部での企業による探鉱、開発活動を積極的に支援している。近年では、YK準州を皮切りに、連邦政府から各準州政府への土地や資源に関する権限の委譲(Devolution)が進み、準州政府による独自の鉱業法の制定も進んでいる。
2019年の鉱物資源生産額は(金属、非金属および石炭の合計)は、全体として2018年の49.0bC$を若干下回る48.2bC$(前年比2%減)となった。鉱産物別では金属が前年比で3%(0.7bC$)増加、非金属は前年比で6%(0.9bC$)減少、石炭については前年比11%(0.7bC$)減少となった。
全体に占める割合が大きな品目としては、上位から順に金10.3bC$(前年比2%増)、石炭5.8bC$(前年比11%減)、鉄鉱石5.6bC$(前年比13%増)、カリウム5.5bC$(前年比3%減)、銅4.3bC$(前年比2%減)となっており、これら5品目で総生産額の3分の2を占める。特にカリウムは埋蔵量が世界2位、生産量が世界1位でいずれも世界シェア2割以上と、世界市場に対して大きな地位を占めていると同時に、2013年までカナダ最大の生産額を誇る鉱産資源。
他の鉱種は国内生産金額では上位を構成するが、世界でみると準主力生産国というポジション(鉄鉱石と銅の世界シェアは数%で、ランキングは10位前後)。ただし、ダイヤモンドとウランという特殊な鉱物ではダイヤモンドが世界シェア約15%で3位、ウランがシェア20%超で2位という独特のポジションを持っている。
鉱 種 | 2017年 | 2018年 | 2019年 | 対前年増減比(%) | 世界シェア(%) | ランク |
---|---|---|---|---|---|---|
セシウム(千t) | – | – | 120.0 | – | 54.5 | 1 |
カリウム(K2O換算)(千t) | 1,000,000.0 | 1,200,000.0 | 1,000,000.0 | -16.7 | – | 1 |
ニオブ(千t) | 20.0 | 1,600.0 | 1,600.0 | 0.0 | – | 2 |
テルル(t) | 800.0 | 800.0 | 800.0 | 0.0 | – | 3 |
ルビジウム(千t) | – | – | 12.0 | – | 12.0 | 3 |
セレン(t) | 6,000.0 | 6,000.0 | 6,000.0 | 0.0 | 6.1 | 5 |
PGM(t) | 310.0 | 310.0 | 310.0 | 0.0 | 0.4 | 5 |
コバルト(千t) | 250.0 | 250.0 | 230.0 | -8.0 | 3.3 | 6 |
鉄(百万t) | 2,300.0 | 2,300.0 | 2,300.0 | 0.0 | 2.8 | 6 |
リチウム(t) | – | – | 370,000.0 | – | 2.2 | 6 |
イルメナイト(t) | 31,000.0 | 31,000.0 | 31,000.0 | 0.0 | 4.0 | 7 |
レニウム(t) | 32.0 | 32.0 | 32.0 | 0.0 | 1.3 | 7 |
ニッケル(千t) | 2,700.0 | 2,700.0 | 2,600.0 | -3.7 | 2.9 | 8 |
金(t) | 2,200.0 | 2,000.0 | 1,900.0 | -5.0 | 3.8 | 9 |
レアアース(千t) | 830.0 | – | 830.0 | – | 0.7 | 10 |
モリブデン(千t) | 150.0 | 100.0 | 100.0 | 0.0 | 0.6 | 10 |
亜鉛(千t) | 5,400.0 | 3,000.0 | 2,200.0 | -26.7 | 0.9 | 11 |
銅(千t) | 11,000.0 | – | – | – | – | – |
出典:Mineral Commodity Summaries 2020
鉱 種 | 2017年 | 2018年 | 2019年 | 対前年増減比(%) | 世界シェア(%) | ランク |
---|---|---|---|---|---|---|
カリウム(K2O換算)(千t) | 12,000.0 | 13,800.0 | 13,300.0 | -3.6 | 32.4 | 1 |
ウラン(tU) | 12.4 | 7.3 | 6.9 | -6.1 | 13.1 | 2 |
ニオブ(千t) | 6,980.0 | 7,700.0 | 7,600.0 | -1.3 | 10.3 | 2 |
パラジウム(千t) | 17.9 | 18.4 | 14.4 | -22.1 | 6.8 | 3 |
コバルト(千t) | 3.9 | 3.5 | 3.0 | -14.8 | 2.1 | 8 |
チタン(千t) | 400.0 | 360.0 | 444.0 | 23.3 | 8.5 | 4 |
プラチナ(t) | 7.5 | 6.7 | 6.9 | 2.5 | 3.8 | 4 |
金(t) | 178.6 | 186.9 | 181.5 | -2.9 | 5.7 | 5 |
ニッケル(千t) | 214.3 | 180.0 | 187.1 | 4.0 | 7.2 | 5 |
鉄(千t) | 50,300.0 | 52,358.0 | 59,013.0 | 12.7 | 2.0 | 8 |
モリブデン(千t) | 4.8 | 5.2 | 3.9 | -24.8 | 1.4 | 8 |
リチウム(t) | – | 2,400.0 | 200.0 | -91.7 | 0.3 | 8 |
亜鉛(千t) | 346.8 | 305.0 | 323.0 | 5.9 | 2.5 | 9 |
ビスマス(t) | 5.0 | 5.0 | 6.0 | 20.0 | 0.2 | 9 |
銅(千t) | 597.2 | 542.9 | 572.7 | 5.5 | 2.8 | 11 |
銀(t) | 392.8 | 404.0 | 410.0 | 1.5 | 1.6 | 14 |
出典: World Metal Statistics Yearbook 2020, Mineral Commodity Summaries 2020
鉱 種 | 2017年 | 2018年 | 2019年 | 対前年増減比(%) | 世界シェア(%) | ランク |
---|---|---|---|---|---|---|
亜鉛(千t) | 598.4 | 620.2 | 653.2 | 5.3 | 4.7 | 4 |
コバルト(千t) | 6.5 | 6.2 | 6.3 | 1.6 | 4.8 | 4 |
アルミニウム(千t) | 3,211.9 | 2,923.2 | 2,853.8 | -2.4 | 4.5 | 4 |
カドミウム(t) | 1,700.0 | 1,680.0 | 1,600.0 | -4.8 | 6.4 | 4 |
ニッケル(千t) | 154.8 | 135.9 | 124.8 | -8.2 | 5.2 | 5 |
テルル(t) | 17.0 | 17.0 | 17.0 | 0.0 | 6.5 | 6 |
鉛(千t) | 274.1 | 261.0 | 260.3 | -0.3 | 2.1 | 8 |
セレン(t) | 72.0 | 85.0 | 57.0 | -32.9 | 1.4 | 14 |
銅(千t) | 321.0 | 281.4 | 277.8 | -1.3 | 1.2 | 18 |
出典:World Metal Statistics Yearbook 2020,Mineral Commodity Summaries 2020
(2)鉱山開発・探鉱活動
ソフトバンクは2018 年 4 月、QC 州で硬岩リチウムのプロジェクトを進める Nemaska Lithium 社が保有する全株式の 9.9%に相当する 88,460,446 株を、1 株当たり 1.12C$、総額99,075,700C$で購入した。また、本契約では、Nemaska 社が現在開発を進めている Shawinigan 精製施設で生産される水酸化リチウム及び炭酸リチウムの 20%をソフトバンク社が優先的に購入できる権利が定められている。精製施設の目標年間生産量は約 37,000t(水酸化リチウム)であり、2019 年末より段階的に生産が開始される見込みであったが、Nemaska 社は、リチウム価格の低下に伴うプロジェクト資金調達の遅れを受けて、2019 年 11 月に Whabouchi 鉱山の操業と一時停止を発表し、それに続いて Shawinigan 精製施設の操業縮小を発表している。
また、住友金属鉱山は2017年よりは IAMGOLD 社が 92.5%の権益を保有するON 州の Cote 金プロジェクトの同社持分の 30%(プロジェクト全体の 27.75%)を取得しており、2020年7月から同プロジェクトの建設工事を開始した。
2.鉱業政策
2013年12月 | QC州の鉱業法改正法案が施行される。 |
---|---|
2014年4月 | QC州議会総選挙が実施される。ケベック自由党が過半数の議席を獲得したことで、北部開発計画「Plan Nord」が再開された。 |
2014年4月 | NW準州で連邦政府との間で締結した土地・資源管理権限移譲契約が施行される。 |
2014年6月 | 連邦最高裁判所は、先住民族であるTsilhqot’in Nation が先住権原 (AboriginalTitle)を求めた裁判で、先住民との間で土地の権利関係に関する条約(Treaty)が締結されていない場合であっても、占有地のみならず規則的排他的な支配がなされている領域に先住権限を認める歴史的な判決を下した。 |
2014年11月 | YK準州政府は、鉱物開発戦略を策定することを発表したほか、鉱山許認可改善イニシアティブ((Mine Licensing Improvement Initiative:MLII)の中で許認可プロセス等の改善を進める。 |
2015年1月 | 連邦政府の北極の土地、水及び資源等に対する管理強化、雇用提供及び 地域経済の支援機関として設立準備を進めているカナダ極北研究所(Canadian High Arctic Research Station)のガバナンス整備を目的とする関連法案が施行される。 |
2015年2月 | NW準州、2013年の鉱物開発戦略に基づき今後25年間のインフラ投資戦略を公表。 |
2015年11月 | YK準州は、戦略策定やイニシアティブの実行等の戦略イニシアティブに従事する専門部署も立ち上げている。 |
2015年12月 | ON州政府、新たな鉱物開発戦略を発表。また、鉱区の取得・管理を近代化し、鉱区登録方法を改善して鉱業の競争力を強化するため、鉱業法改正法案を提出。 |
2016年1月 | 連邦政府、環境影響評価プロセスの見直しにあたり暫定方針を発表。 |
2016年2月 | BC 州政府と先住民族 Tsilhqot’in Nation が協定「Nenqay Deni Accord」を締結。 |
2016年3月 | NW準州、インフラ投資戦略の一環として準州独自の鉱物資源法を制定するプロセスを開始。 |
2016年7月 | BC州、鉱山健康・安全・環境再生条例(Health, Safety and Reclamation Code for Mines)を改正、施行。 |
2016年8月 | 連邦政府、環境認可プロセスの見直しを目的とした専門家によるパネルレビューを実施。 |
2016年11月 | 連邦政府、カナダインフラ銀行の設立の検討を公表。北部の鉱山開発おける道路、電気等のインフラの整備の支援も期待される。 |
2016年12月 | 連邦政府、2018年からのアスベストの生産、使用および輸出入の全面禁止を発表。 |
2018年2月 | カナダ環境影響評価法に代わって影響評価を専門に扱う新機関IAA(Impact Assessment Agency)の設立。 |
2018年2月 | IAAの掲げる項目の詳細等の方針を決定。 |
2019年3月 | CANADIAN MINERALS and METALS PLANを発表。 |
2019年6月 | 加・米国間でクリティカルミネラル協力行動計画が最終化。 |
2019年12月 | 米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の内容を一部修正する議定書への署名が行われる。 |
2020年7月 | 米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)が発効。 |
(1)連邦環境影響評価プロセス見直しの動き
2015年に連邦政府が交代し、保守党のハーパー首相から自由党のジャスティン・トルドー氏が新首相となった。同氏は、前政権によって環境評価プロセスの簡素化や環境保護能力を大幅に削減されたとして、新政権によるプロセスの見直しが開始した。
連邦政府は、2016年8月より連邦の環境影響評価プロセスの見直しを目的とした専門家によるパネルレビューを実施し、2017年4月に「Building common ground: A new vision for impact assessment in Canada」を公表した。これには、①既存の「環境評価(Environmental Assessment)」を「影響評価(Impact Assessments)」とし、環境だけでなく、経済、社会、文化、健康を含んだ評価基準を設け、②「包括的な紛争解決を行う準裁判所」の設置により連邦政府の権限強化を図り、③評価期間を利害関係者全員の合意が得られるまでとして実質の無期限化、という内容の提言がまとめられた。
2018年2月には上記提言を踏まえ、①カナダ環境影響評価法に代わって影響評価を専門に扱う新機関IAA(Impact Assessment Agency)の設立、②IAAの掲げる評価項目として、持続可能性(気候変動対策等)、累積的な影響、地域特性、ジェンダー、代替手段及び代替プロジェクトとし、③透明性と確実性の向上として、先住民と国民の参加機会の拡大、予測可能で一貫したタイムライン(IAAの評価期間は300日(以前は365日)、パネルレビューは600日(以前は720日))、等の連邦政府の方針を発表した。しかしながら、石油等の業界団体はこれらの内容は環境認可プロセスの不透明性を増すものだとして改正に反対している。
また、2019年6月には本内容を反映した法案C69「The modernization of the National Energy Board and Canadian Environmental Assessment Agency」が最終的に可決された。
(2)CANADIAN MINERALS and METALS PLAN
2019年3月、連邦政府は「人的、社会的、経済的、環境的に持続可能な鉱業」を実現するための行動計画CANADIAN MINERALS and METALS PLAN(CMMP)を発表した。これは1994年に連邦と各州政府が合意したWhitehorse Mining Initiativeを発端として作成された、持続可能な鉱業を達成するための連邦政府の長期の鉱業政策方針を定めた計画案となっている。「国際競争力」、「先住民参加」、「環境」、「科学技術開発」、「コミュニティ」、「世界的リーダーシップの獲得」の6項目からなる。具体的な内容は下記の通りである。
- (国際競争力)
- ・2020年までに持続可能で有効性・透明性のある鉱業制度を確立。
・探鉱のための普遍的な地球科学手法を提供。
・特に北部地域に対して、鉱業促進のためのインフラ投資を実施。
・国際競争力確保のための税制の見直しを実施。
- (先住民参加)
- ・先住民条約締結の促進、トレーニングプログラムの拡充、ビジネス機会の創出。
- (環境)
- ・管理者不在鉱山への対策強化。
・温室効果ガスを含む鉱山からの排出物減少に向けた技術開発の強化。
- (科学技術開発)
- ・分野横断型研究の促進、革新技術を応用したデータ戦略。2025年までに探鉱及び鉱山操業技術へ応用し、商業化を目指す。
・特許法等について、急激な技術革新に対応するための法整備を実施。
- (コミュニティ)
- ・現地雇用増加のためのチェックリストを作成する等、地域住民の参加を加速する取り組みを実施。
・大学卒以上の人材に対し、鉱業をより魅力ある分野にするための施策を行い、専門家を育成。
・2030年までに鉱業分野への女性参画率30%を目指す。
- (国際的リーダーシップ)
- ・CPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)等により加速される投資により、鉱業におけるカナダの国際的リーダーシップを確立。
(3)鉱業税制
連邦政府は、探鉱会社及びそれに投資する投資家への税優遇措置である探鉱開発税額控除(Mineral Exploration Tax Credit)制度を2019年以降の5年間延長した。これにより、フロースルー株式を購入する個人投資家は、100%の所得控除に加えて、更に15%の税額控除が認められる。
各州の税制優遇措置に関しては、2019年1月、BC州が独自に実施している20%の税額控除BC Mining Exploration Tax Credit(BCMETC)及びBC Mining Flow-Through Share Income Tax Credit(BCMFTS)の恒久化が発表された。また、2019年現在、ON州、MT州、SK州でも税額控除制度が引き続き運用されている。
(4)加・米国間でクリティカルミネラル協力行動計画が最終化
2019年6月に米トランプ大統領と加トルドー首相は、クリティカルミネラルをめぐる両国の協力関係を策定するよう関係当局者に指示した。これを受け2020年1月9日、米国政府とカナダ政府は、クリティカルミネラルの協力に関する共同行動計画を策定した。これは産業との連携、戦略的産業と防衛産業のための重要な鉱物サプライチェーンを確保する取り組み、鉱物資源に関する情報共有の改善、多国間フォーラムおよび他国との協力等の分野における協力を導くものであるとしている。
(5)NAFTAに代わる米国・メキシコ・カナダの新貿易協定USMCA締結
2019年12月にメキシコにおいて、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の内容を一部修正する議定書への署名が行われた。この修正議定書では、完成車メーカーが調達する鉄鋼の70%以上が域内原産品でなければならないとされたが、発効後7年間の猶予期間が与えられることとなった。アルミニウムについては、発効後10年間で原産地規則の厳格化を行うか否かを加盟国で決定することとなった。
2020年7月1日、米国・メキシコ・カナダ協定USMCAが発効したが、2020年8月16日より米国がカナダ産アルミニウムの輸入に10%の関税を再導入するなど不確実性が残されている。
